朝の海は凪で迎える。
陸からの風 オフショアからオンショア(海風)に代わる刻。一時の無風が海辺を包む。
幻想的で夢想とも思え、後の時化を想像させる静寂の一瞬。
十代の頃の私は日本海を望む街で凪の海面から立ち登る水蒸気の揺れる煙の動きを見、「今日はベタ凪」とか「荒れそう」と勝手に占っていた。
ヨット部で海辺の実習場で週末を過ごした私は前夜に聴いた気象情報の知識で想像していただけである。
一瞬、40年もの過去の出来事を思い出し、夢想する。それが日曜の朝。
以前より「終わりの刻は、思い出す情景が沢山あって刻を迎えたい。」と若者らしく無い夢想を語っていた。今、顧み。願いは叶っているか？ 答えは無い。宗教観に似た価値観で主観の捉え方でなんとでも表せる。
唯、言える事は、そんな禅門答も時間潰しに成らぬ景色と空気が此処にはある。滞在visaも要らない。郵便局がある。 凪だと多少暑いが。
9月も瞬く間に最終週。来週には10月。6月の取引。7月の手続から3ヶ月。大変ではあったがのんびりとこなして来た。そろそろ身の置き所を移せる準備に入ろうか。電気水道は2軒とも纏めた。ガスは未着手。
先ずは残地物の処分。補修。やる事は多いが時間的に制約が無いと時間をかけてしまう。戒め。
東棟に掃除機、補修ツール、工具を移す事を想定し、西棟の仕上のピッチを上げる。
庭の作業は柑橘の防虫施策、収穫、溝攫い、畑にする部分の掃除、ゴミ選別廃棄。選り分けて捨てる事が多い。昨年からそうだ。別にミニマリストは標榜していない。物欲所有欲は強いが無駄な物は嫌いなだけ。
朝は乾麺戻し蕎麦。珍しくざる状蕎麦。汁は煮出した所なのでまだ仄かに温かい。お腹にはこれがいい。飲薬。
現場で真昼は先ずニスの上塗りを重ね、いつ迄も刷毛跡が残る。やはり最初の下地調整で全部剥いでしまった方が良かったのか。まぁいざとなれば裏面利用に変えてもいい。着色ニスも透明感が無いのに塗り潰せない。特徴を覚えて行こう。化粧合板にはやはり要注意。東棟の欠損した空気取り窓の留め具、トップラッチの代替品探しの為、西棟の正常な品を取り外して計測。サイズ詳細と注意点まで記載されているサイトはメーカー パーツ販売窓口。だが送料も物品も高い。窓の留め具なので選択肢は無いがこのキャノンのプリンターインクのような旧来の商法が今一つ納得行かない。元々の本体が安い訳でも無い。こんな商売が売上税簡易税率2割のベースなのだろう。
夕刻少し気温も落ち着いて来たので柑橘の防虫にアルミ網の網戸利用の残り端に紐を通して幹元に巻くいていく。カミキリムシが幹内に卵を産むのを防ぐ。
少々心許ないがこれでアルミテープで隙間を埋め、幹元に腐葉土と土を埋め戻して防御する。木の下に潜ると蚊が襲って来る。付近の土もカチカチだ。徐々に徐々にやって行く。
今日は刺身屋もやっていない。冷凍の鶏肉とシークワサー焼酎で寝もう。
